ちょっとしたこと


土曜日の朝、前日に職場にチャリンコを置きっぱなしなのをすっかり忘れていて、慌ててバスで通勤。
帰り、チャリンコで帰宅途中最寄り駅近くに大抵居座っているホームレスのおじさんから

「よぉ、朝歩いていたな〜」

と話し掛けられた。
びっくりしたのと同時に、反射的に笑顔で会釈して側を通り過ぎた。

私の通勤路は中原街道という結構車も人も多い通りなのに、よく覚えていたなぁと感心。
そんなに印象付けるような何か、持ち合わせていたっけかな?私。

そのホームレスのおじさんは、リヤカーを自分で改造してちょっとした簡易住宅のようなものを保有している。
見るたびにオプション(空き缶の袋とか、まだ使えそうなゴミの数々)が増えていって、何だか要塞みたいだった。
ある冬の日、その簡易住宅がシンプルになってて、数日後おじさんに出会うことが無くなった。
春が来て、再びおじさんは要塞化したリヤカーをひきつれてこの町にやってきた。

その詳しい経緯を訊くつもりは全く無いが、一つだけいつも訊いてみたい事がある。

「家を捨てたあなたが、何故家のようなものを大きくするのか、そして物を増やし続けるのか」

話し掛けられた時、立ち止まって少しおじさんの話に耳を傾ければよかったかな、と思った。